突然食べたくなる“食べもの”がある。それは、たいてい、今すぐに食べることが難しいものである。夜中に食べたくなったソフトクリームだったり、真冬に食べたくなったスイカだったり(最近では、スイカも冬に食べられるようになったけれど)、テレビのラーメン特集を見ているうちに食べたくなった鹿児島のラーメンだったり…無理だとわかっているから、余計に食べたくなるのだ。私が、お取り寄せにハマったのも、実はそんな“突然食べたくなる病”のせいかもしれない。いつ何時何を食べたくなっでも、あらゆるものを取り寄せておけば大丈夫という食い意地以外の何ものでもない。おかげで、我が家の冷蔵庫も戸棚もトランクルームも、お取り寄せの品々でいっぱいである。それでも、また、突然食べたくなるものは、“そこにないもの”なのだ。まるでお取り寄せしたリストをチェックしてから“そこにないもの”を選んでいるようなあまのじゃくぶりである。そうなると、それ以外は目に入らない。□がそれ以外を受けつけないほど、そういう口になってしまうのである。ある日、突然「泉門天」の“ひとロ餃子”が食べたくなった。夜中のことである。この“ひと口餃子”は、牛肉・豚肉にニラや白菜が薄皮に包まれていて、焼くとパリッとして、スナック菓子のようにいくつでも食べられてしまう。具は少なめなのに、噛んだ時にジューシーで、白いご飯にも合うが、ビールを飲みながらつまむのに最高なのだ。いろいろな人に贈っていただいたり、自分でもよくお取り寄せするので、冷蔵庫に大量にあると思っていたのだが、丁度切れていた。前の週に友達が大勢で遊びに来た時、すべて食べ尽くしてしまっていたのだ。すっかり「泉門天」の“ひとロ餃子”のロになっていたので、ショックだった。そうなると、どうしても食べたい。そういえば、妹に「これビールに合うから」と、“ひと□餃子”を持たせたことを思い出した。夜中にもかかわらず、「この間あげた泉門天のひと口紋子ちょっと返して」と妹に電話して、車を飛ばして取りに行った。妹は何事かという韻をしていたが、私の“突然食べたくなる病”はそんなことお構いなしだった。家に帰って、「泉門天」の“ひとロ餃子”を食べながら飲んだビールの美味しかったこと。それ以来、妹だけでなく、仲のいい友達にもこの餃子を贈っている。「何かあった時は、取りに行くから」私の“突然食べたくなる病”は重症だ。今度のお中元はひと口餃子を贈ると喜ばれるだろう。