中学受験での成功物語の裏にこそ、実は大変なことがたくさんありました。我が家の母親は、「老人介護」では、ある意味で脚光を浴びました。「何で私がこんなことしなきゃいけないのよ」といっていたその母親が、いつの間にか講演会に引っぱり出されたり、介護雑誌に家族ぐるみで紹介されたりしました。そこでは「明るい介護」と言われたりもしましたが、実際には、誰もが経験する辛酸も味わいました。私達夫婦の大いなる葛藤のなかで、子供たちの受験が進んでいったわけですが、そこには暗い影はあまり射していません。軽率な私の脚色のせいか、幸福な経験談になってもいると思います。「受験」も「老人介護」も、受け止め方次第ということ。すべて過ぎてしまえば、みな「思い出」といえるのかもしれません。
「勉強は学校に任せてください。すべて学校の授業で十分な指導をしますから、宿題などは出しません。家では何もやらなくていいです」というようなことを胸を張って言う学校の教師もいる。しかし、このような方は、エビングハウスの忘却曲線をご存知ないのだろう。私の二十五年の経験から言っても、学びっぱなしで学習内容が定着する子どもは二割いれば良いほうである。先の教師の言葉は、かなり「うさんくさい」と考えた方がよい。塾では、無理のない程度に、毎週必ず宿題を出すことにしていた。人間は覚えたことのかなりの部分を忘れてしまう生き物であることを前提にし、その口に習ったのと同じ様な内容の問題を宿題に出す。そうすると、その内容の定着率が常に高まるのが、経験上わかっているからだ。
受験会場で簡単にできる対処法は、試験開始前や休憩を利用し、チョコレートやキャンディーやリンゴジュースなどで、糖分を補給すること。一息入れることで緊張感を和らげる以外に、糖分補給は集中力を高める効果もあります。ケアレスミスには、緊張感とは反対に、油断が原因の場合も意外に多いので要注意です。このケースは、簡単な問題、過去に解いたことのある問題で起こす失敗です。問題を目にした瞬間、安堵感から気分が緩んでしまい、慎重に答案用紙を点検せずに提出し、後でミスに気づいて慌てる。これもよくある失敗例の一つです。やさしい問題こそ十分な注意が必要で、思い込みで解いていないか、解答欄を間違っていないか。終了ブザーがなるまで入念にチェックしなければなりません。それを防ぐには、制限時間の十分前に解答を終え、残り十分間は、ミスの発見・見直しに充てることです。十分前に解答を終える習慣は、模擬試験などを通して身に付けておく必要があります。私の予備校では、入試直前期に、十分前終了の訓練を徹底的に行っています。もう一つ、ケアレスミス防止に役立つ即効性の高いアドバイスは、試験会場では、休憩中に友人と答え合わせや雑談は絶対にしないこと。休憩時間は、参考書を読むなど、活字に触れ、ギリギリまで活字への集中力を強化する。それだけでケアレスミスも減らせます。